執着から解脱して
菩提樹登れば
霞む記憶
善悪だけに偏った
若い解釈も
喪ってご老体
砂に描いた絵の
細い線がわたしを惑わす
この世界には何も
畏れるものはないと呟いて
彼は逝った
振り向かずに
陽炎も知ったような
昏い顔のままで微笑んだ
手を取って
交わした温もりも
途絶えて、とうに地獄へ堕ちた後さ
虚ろな喧騒も
何処か遠くへわたしを誘う
この世界には誰も
誇れるものはないと囁いて
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